動画編集といえば無料で使える高機能なソフトから有料ソフトまで様々なソフトがありますが、今回は3つのソフトについてPugetsystemsさんのベンチマーク結果を基に動画編集におすすめのPCパーツを比較しながらPCスペックをチョイスしたいと思います。
今回チョイスした編集ソフトは下記の3つになります。
・Adobe Premiere Pro
・Adobe After Effects
・Davinci Resolve
もくじ
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こんな方にオススメ!Adobe? or DaVinci?
ソフトウェアの特性上、どちらのソフトも甲乙付けがたい優秀なソフトであることには変わりありません。
また、編集ソフトは基本的に自分が使いやすい物を見つけて使い始めてからは、なかなか他のソフトウェアに浮気をする事があまり無い様な気がします。
最終的には自身の使いやすい環境で作業を行うのはベストだと思っていますが、その中で注目していただきたい点を紹介させていただき少しでも自身に合った環境を構築する際の参考になればと思います。
Adobe Premiere Proは、映像を繋げることに特化しています。
その中でも、Adobeソフトウェアグループでの互換性が素晴らしく、Adobe After Effectsで編集した映像をAdobe Premiere Proで再現することが出来たりとソフトウェア間でのやり取りが容易で簡単です。
Davinci Resolveは、カラーエディット(色編集)に特化しています。
色の編集機能が優秀で、多彩な色味を出してくれることからも超高解像度の映像の色を自由に編集できることから、映像の中でも特に色を編集に力を入れられている方が多く感じられます。
基本的にはCPUの性能に応じて処理速度が向上します
いつも描写を快適にさせるパーツはGPU(グラボ)と言ってきましたが、動画編集をする場合はソフトウェアの仕様上ゲームとは異なるため、基本的な処理がCPUでなされているためGPUの性能は4の次になってきます。
もちろん、最近ではCPUとGPUの両方を使用して処理をする機能が多く存在しますが、やはりその中でもCPUの性能が動画編集の処理速度に対してパフォーマンスの向上が大きいとされています。
CPUのコア数とクロック、値段の比較
各モデルの価格については当時の価格を記載させていただいていたり、一部プレミア価格があるため完全なデータではありません。性能と価格の比較の参考までにお願いします。
CPU | Core | Clock | Price |
Ryzen 9 3950X | 16Core | 4.7Ghz | ¥100,000 |
Ryzen 9 3900X | 12Core | 4.6Ghz | ¥65,000 |
TR 3960X | 24Core | 4.5Ghz | ¥180,000 |
i9-9900K | 8Core | 5Ghz | ¥61,000 |
TR 3970X | 32Core | 4.5Ghz | ¥255,000 |
Ryzen 7 3800X | 8Core | 4.5Ghz | ¥49,000 |
i9 10940X | 14Core | 4.6Ghz | ¥108,000 |
i9 10920X | 12Core | 4.6Ghz | ¥95,000 |
i9 10980XE | 18Core | 4.6Ghz | ¥150,000 |
i9 10900X | 10Core | 4.5Ghz | ¥76,000 |
i7 9700K | 8Core | 4.9Ghz | ¥47,000 |
i9 9960X | 16Core | 4.4Ghz | ¥100,000 |
i9 9920X | 12Core | 4.4Ghz | ¥101,000 |
i9 9940X | 14Core | 4.4Ghz | ¥124,000 |
CPU別ベンチマークスコアの比較
各ハイエンドCPUとAdobe Premiere Pro/Adobe After Effects/Davinci Resolveそれぞれの性能をスコア化し比較していきたいと思います。
まずは、全体のスコアになります。
CPU | AfterEffects | PremierePro | DaVinci |
Ryzen 9 3950X | 1056 | 833 | 141 |
Ryzen 9 3900X | 1014 | 711 | 127 |
TR 3960X | 1054 | 1042 | 188 |
i9-9900K | 1022 | 737 | 101 |
TR 3970X | 1029 | 1067 | 194 |
Ryzen 7 3800X | 992 | 657 | 109 |
i9 10940X | 1023 | 812 | 146 |
i9 10920X | 1012 | 774 | 137 |
i9 10980XE | 951 | 863 | 162 |
i9 10900X | 936 | 701 | 120 |
i7 9700K | 921 | 670 | 79 |
Adobe Premiere Proに最適なCPU選びは?
Adobe Premiere Proに最適なCPUは、ベンチマークの結果下記の通りになりました。
やはりAMDからリリースされているAMD Ryzen Threadripperシリーズが大きくスコアを離して上位にランクインしています。
25万円程度するThreadRipperシリーズを1台で構成させるか、10万円程度で購入できるi9 10980XEや、Ryzen 9 3950Xを購入して2台で運用させて1600程度の性能で並行処理させるかはお任せします。
AMD Ryzen™ Threadripper™ 3970X
TR 3970X | 1067 |
TR 3960X | 1042 |
i9 10980XE | 863 |
Ryzen 9 3950X | 833 |
i9 10940X | 812 |
i9 10920X | 774 |
i9-9900K | 737 |
Ryzen 9 3900X | 711 |
i9 10900X | 701 |
i7 9700K | 670 |
Ryzen 7 3800X | 657 |
Adboe After Effectsに最適なCPU選びは?
Adobe After Effectsに最適なCPUは、ベンチマークの結果下記の通りになりました。
Adobe Premiere ProのランキングではThreadRipperが大きくスコアを離していましたが、Adobe After EffectsではRyzen 9 3950Xが僅差で1位になっています。
Adobe After Effectsのみで作業をする場合には、コスト的に考えればRyzen 9 3950Xがオススメかもしれません。
Ryzen 9 3950X | 1056 |
TR 3960X | 1054 |
TR 3970X | 1029 |
i9 10940X | 1023 |
i9-9900K | 1022 |
Ryzen 9 3900X | 1014 |
i9 10920X | 1012 |
Ryzen 7 3800X | 992 |
i9 10980XE | 951 |
i9 10900X | 936 |
i7 9700K | 921 |
やはりAfter Effectsを使用する上でパフォーマンスの向上を図るには、CPUの選定が重要になってくると考えられます。Photoshop同様にAfter Effectsも使用されるCPUのコア数は一部のため、intel Xeon CPU等の様に複数のCPUを搭載させてコア数を備えてもコストに対してパフォーマンスが著しく向上する事はなくなりました。
因みに、After Effectsの旧バージョン(CC 2015以前)では複数のフレームを同時にレンダリング(マルチプロセッシング)の機能を使用することで複数コアが優位に立っていましたが、現在のバージョンではマルチプロセッシング機能が削除されているため価格が高いXeonの選択は視野に入れる必要性が無くなってきたと考えています。
高価なXeon CPUを選定するよりは、CoreシリーズやRyzen 9 シリーズで低コストなCPUにメインメモリや、作業用のディスクドライブにSSDを増設することをオススメします。
Davinci Resolveに最適なCPU選びは?
Davinci Resolveに最適なCPUは、ベンチマークの結果下記の通りになりました。
ここでもやはりThreadRipperが大きくスコアを離してランクインしています。
AMD Ryzen™ Threadripper™ 3970X
TR 3970X | 194 |
TR 3960X | 188 |
i9 10980XE | 162 |
i9 10940X | 146 |
Ryzen 9 3950X | 141 |
i9 10920X | 137 |
Ryzen 9 3900X | 127 |
i9 10900X | 120 |
Ryzen 7 3800X | 109 |
i9-9900K | 101 |
i7 9700K | 79 |
上記の結果を基に性能の高い順に1位から11位まで順位付けをして、3つのベンチマークの順位を全て足していき、一番数値の低い順から並び替えてみました。
CPU | ALL |
TR 3970X | 1 |
TR 3960X | 2 |
Ryzen 9 3950X | 3 |
i9 10940X | 4 |
i9 10980XE | 5 |
i9 10920X | 6 |
Ryzen 9 3900X | 7 |
i9-9900K | 8 |
i9 10900X | 9 |
Ryzen 7 3800X | 10 |
i7 9700K | 11 |
長くなってしまいましたが、全体的な結果的としてAMD Threadripperが上位にランクインし、Intel 10世代CPUが後を追う形になりました。
画像編集でもオススメさせていただいていた、AMD Ryzen 9 3950XとIntel i9 9900Kの2製品ですが、今回の動画編集というカテゴリの中では惜しくもi9 9900Kが総合8位まで降格してしまっている中、Ryzen 9 3950Xが見事3位にランクインしている快挙を成し得ています。
AMD製品の一部では周波数の高いメモリを使用することでパフォーマンスの向上が見込めることがあることから、個人的に動画編集、画像編集を視野に入れたCPU選別はAMD Ryzen 9 3950Xをオススメします。
メモリの容量や帯域の重要性について
・Adobe Premiere Pro
・Adobe After Effects
・Davinci Resolve
それぞれ
メモリのクロック数の関係性については、フォトショップのオススメPCの記事でも紹介させていただきましたが、
特定のCPUと周波数の高いメモリを組み合わせた際にパフォーマンスが向上するが、基本的には大きく影響しない。
また、必要以上に限られた予算を割いて過剰にメモリ容量を増やしても、パフォーマンスが向上する期待度は低いとされているようです。
Intel | AMD | |||
i9-9980XE | i9-9900K | TR-2990WX | Ryzen 9-3900X | |
DDR4-3600/32GB/CL16 | 98.5% | 104.8% | 104.9% | 107.4% |
DDR4-3200/64GB/CL16 | 101.6% | 102.3% | 102.1% | 105.3% |
DDR4-2666/64GB/CL16 | 100.5% | 101.3% | 103.1% | 103.7% |
DDR4-2666/64GB/CL16 | 99.3% | 99.1% | 99.90% | 100.80% |
DDR4-2666/64GB/CL19 | 100.1% | 100.9% | 99% | 99.9% |
DDR4-2666/128GB/CL19 | 100.0% | 100.0% | 100.0% | 100.0% |
高価なi9-9980XE、AMD ThreadRipper 2990WXでは周波数が高いメモリを使用してもパフォーマンスの向上が著しく上がることはありませんでしたが、i9-9900K、Ryzen 9 3900XではDDR4-2600~3600の周波数の違いでおよそ5%程度パフォーマンスが向上した結果が分かります。
特にRyzen 9 3900Xとの組み合わせの中では7%超えも見られることからも、数%の差が重要な方にとっては、この組み合わせは見逃せませんね。
GPU(グラフィックボード・ビデオカード)の重要性について
PCIeの帯域速度でパフォーマンスは変化するのか?
現在では最新の規格であるPCI Express 6.0 (Gen6)が発表されていますが、新世代であればある程転送速度が高速化し高性能なものになっています。
この規格別の転送速度、例えばPCI Express 4.0 (Gen4)はGen3と比較して2倍程度高速化されましたが、この2倍高速化した数値は動画編集に影響をもたらすかGPUを使用したベンチマーク結果を基に考察していきたいと思います。
現段階ではGen4に対応しているGPU(ビデオカード)は多くはないため選択肢が狭まってくるかもしれませんが今後対応してくるマザーやビデオカードが増えて来ることは間違いないでしょう。
PCI-express 4.0に現在対応しているGPUはAMD RADEON RX5700シリーズです。
果たしてGen3の2倍の性能アップが見込まれるGen4はスコアも2倍になるのでしょうか?
Gen3/Gen4のベンチマーク比較
・Premiere Proのベンチマーク結果
Premiere Proベンチマークの総合スコアから始めて、Radeon 5700 XTを搭載したPCIe Gen3とGen4の間に違いはありませんでした。ただし、Premiere Proベンチマークのテストのほとんどは、GPUに特に負担をかけているわけではないため、「4K Heavy GPU Effects」テストシーケンスの結果だけを見てみましょう。
「ヘビーGPUエフェクト」シーケンスは、Premiere ProのさまざまなGPU間の最大パフォーマンスの違いと、PCIe Gen4がパフォーマンス上の利点を示す可能性が最も高い非現実的な例を示すことを目的としています。クロスディゾルブ、ディップトゥブラック、ディップトゥホワイト、ワイプ、ルメトリカラー、VRノイズ除去、ウルトラキー、シャープ、ガウスブラー、ベーシック3D、VRデジタルグリッチ、方向ぼかしなどのGPU高速化トランジションとエフェクトのみが含まれます。
残念なことに、5700 XTを搭載したGen3とGen4の結果はすべて互いに1 FPS以内であり、このタイプのテストの誤差範囲内です。つまり、現在利用可能な最高速のPCIe Gen4対応GPUを使用すると、Premiere ProのPCIe Gen4でパフォーマンスを向上させることができません。
・After Effectsのベンチマーク結果
After Effectsは、Premiere ProよりもGPUの使用量が少ないため、このベンチマークの総合スコアからはあまりわかりません。Gen3とGen4の間では、5700Xスコアの差は1%未満であり、RTX 2060 SUPERスコアでさえ5700 XTと実質的に同じでした。PCIe Gen4でパフォーマンスが向上した数回のうちの1つを詳しく見るために、「GPUストレス」プロジェクトのRAMプレビュー結果だけを調べてみましょう。
この1つのテストだけを見ると、Gen3ではなくPCIe Gen4を使用するRadeon RX 5700 XTで再生FPSがわずか3%向上しました。これはほんのわずかな違いであり、少なくとも5700 XTのパフォーマンスレベルでは、PCIe Gen4がAfter EffectsのGPUパフォーマンスに影響を与える現実的な状況はないはずです。
・DaVinci Resolve Studioベンチマーク結果
DaVinci Resolveは非常にGPUに重点を置いたアプリケーションです。つまり、Premiere ProやAfter Effectsと比較して、PCIe Gen4の方がパフォーマンスに大きな影響を与えるはずです。そして実際には、全体の約5%に過ぎませんでしたが、大きな利益が見られました。
興味深いのは、個々の結果を調べたときに、パフォーマンスの最大の増加を示す傾向があったのはOpenFXまたはTNRテストではなく、それが “Basic Grade”テストであったことです。
このテストはPCIe Gen4で最大のパフォーマンスの向上を示したという事実は、これは本質的に何のグレーディングも行わずにストレートトランスコードパフォーマンスをテストしているため、まったく驚かされました。通常、CPUはGPUよりもはるかに大きな違いをもたらしますが、何らかの理由でPCIe Gen4からの追加の帯域幅により、パフォーマンスを約20%向上させることができました。
引用:https://www.pugetsystems.com/labs/articles/Does-PCIe-Gen4-improve-GPU-performance-in-video-editing-apps-1565/
以前、私もGen3がリリースした際に、Gen2とGen3のGPUのベンチマークをしたことがありましたが、その際もそこまで大きな変化がなく、そこまで固執するほどの結果を得ることが出来なかったことから絶対的に必要な方以外には特にオススメする必要は無いと判断していましたが、今回のGen4検証でも全体的に見て大きな上昇は無く、DaVinciを使う方は意識して構成を考えていただけたらと思います。
NVIDIAハードウェアエンコーダ(NVENC)の有用性
Premiere Pro(β版)では、サポートされている一部のCPUでIntelQuickSyncを使用することでパフォーマンスが向上しましたが、現在ではGPUで処理させることが出来るようになり、nVIDIA/AMDのビデオカードのH264 / HEVCでエンコードすることで出力時間が大幅に短縮出来るようになったので是非活用していただけたらと思います。
・Premiere Pro NVIDIAハードウェアエンコーディングのベンチマーク結果
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