近年、パソコンのカスタマイズやアップグレードにおいて、グラフィックボード(GPU)の選択は非常に重要な要素となっています。特に、追加の電源ユニットを必要としないグラフィックボード(GPU)は、簡単に設置できることが大きなメリットです。本記事では、補助電源が不要なグラフィックボード(GPU)を比較し、それぞれのパフォーマンスや便利さについて検証します。
補助電源不要のグラフィック(GPU)ボードは、基本的にマザーボードのPCI Expressスロットから供給される電力(最大75W)のみで動作します。これにより、電源ユニットのアップグレードや余分な電源ケーブルの接続なしに、グラフィック性能の向上が見込めるため、特に小型PCや予算を抑えたいユーザーに適しています。
次に、補助電源が不要ないくつかのグラフィックボード(GPU)モデルについて、その特徴と性能を比較します。
もくじ
補助電源が不要なグラボを勧めたい人
・パソコンがスリムタイプだけど、グラボを使いたい
・電源ユニットを交換したくないけどパソコン、グラボのスペックを上げたい
・パソコンを交換したくないけどパソコンのスペック、グラボのスペックを上げたい
CPUを交換した方が性能が上がる場合があるよ
CPUに内蔵されているGPUの性能も最近では飛躍的に向上しているため、安価なグラボで妥協するよりも、今後ハイエンドのグラボを視野に考えている場合は、CPUを換装して取り敢えずは内蔵GPUで我慢するという選択もあります。
補助電源が不要なグラボ一覧表
モデル名 | スコア | 消費電力 | メモリ容量 |
NVIDIA RTX 2000 | 13,767 | 70W | |
GeForce RTX 3050 | 12,917 | 70W | 6GB |
GeForce GTX 1650 | 7,877 | 75W | 4GB |
AMD Radeon™ RX 6400 | 7,505 | 53W | 4GB |
GeForce GTX 1050Ti | 6,312 | 75W | 4GB |
GeForce GTX 950 | 5,337 | 75W | |
Arc™ A380 | 5,120 | 75W | 6GB |
GeForce GTX 1050 | 5,058 | 75W | 2GB |
GeForce GTX 1630 | 5,008 | 75W | |
GeForce GTX 750Ti | 3,901 | 60w | |
Radeon RX 560 | 3,653 | 75W | |
GeForce GT 1030 | 2,478 | 30W | 2GB |
NVIDIA GeForce GT 730 | 743 | 2GB | |
NVIDIA GeForce GT 710 | 631 | 19W | 2GB |
補助電源とは?
補助電源は、コンピュータの主要な電源ユニットでは供給されない追加電力を提供するために、接続される電源です。
多くの場合、高消費電力タイプのグラボや、高負荷を要するグラフィックボード(GPU)に必要とされています。
補助電源の役割
補助電源の最も重要な機能は、安定した電力を供給することです。これにより、グラボは最適な性能を維持しながら、より高負荷の作業を安全に消化することができます。特に、グラフィックスの処理においては、リアルタイムで複雑な画像を生成するために大量の電力を消費するため、補助電源は不可欠です。また、この電力は、安定した動作のために重要な冷却システムの駆動にも使用され、オーバーヒートによる性能の低下や損傷のリスクを軽減します。
補助電源の必要性
性能上の理由から、特に高性能なグラフィックボードを搭載しているシステムには、補助電源が必要になることが多いです。これらのコンポーネントは、標準的な電源ユニットだけでは十分な電力を供給できない場合があり、その場合、補助電源がそのギャップを埋めます。また、オーバークロックされたシステムでは、標準的な使用状況以上の電力を必要とすることがあるため、補助電源は、性能を最大化する上で重要な役割を果たします。
※補助電源が必要なグラボに対してケーブルを接続しない場合は、正常にPCが動作せず画面が出力されません。
補助電源が不要なグラフィックボードのメリット
補助電源が不要なグラフィックボードは、その設計上、多くのメリットを提供します。特に、パフォーマンスの向上と電力消費の削減は、この種のグラフィックボードが提供する最も重要な利点の3つです。
パソコンを買い替えずにパフォーマンスを向上できる
一番の利点は、スリムタイプのパソコンにロープロファイル+補助電源が不要なグラボがおすすめのコンボです。
スリムタイプはどうしても、アップグレードに限界があり、特にグラボに関しては電源ユニットが小容量であるため、補助電源を活用しても使用できるグラボが限られています。そんな時に高性能な補助電源が不要なグラボを搭載する事が出来れば、簡易的なゲーミング用、動画編集用、画像編集用のパソコンに早変わりできます。
電源ユニットを交換せずにパフォーマンスを向上できる
補助電源が不要なグラフィックボードは、PCI Expressスロットからのみ電力を供給されます。この点は、グラフィック処理能力において、決して劣ることを意味しません。むしろ、最新の技術と高効率の設計によって、これらのカードは優れたパフォーマンスを発揮することができます。軽度から中程度のゲーム、ビデオ編集、グラフィックデザインの作業などに十分な性能を持ち、コンピューターのアップグレードやビルドに際して、電源ユニットの交換を避けることができます。そのため、追加的なコストをかけずにパフォーマンスを向上させることが可能です。
電力消費の削減
補助電源が不要なグラフィックボードは、低い電力で動作することが特徴です。この低電力設計は電気代の節約に直接寄与し、さらには環境にやさしい選択ともいえます。また、電力消費が少ないことは、システム全体の発熱量を減少させ、冷却に関連するノイズの低減にも繋がります。その結果、より静かで快適なコンピューターの使用環境を実現できます。特に、小規模オフィスや静かな環境を求めるユーザーにとって、この点は非常に魅力的です。
補助電源が不要なグラフィックボードのデメリット
補助電源が必要なグラボと比較して性能が低い
低消費電力で動作するグラボは、グラボを搭載していないパソコンと比較すれば非常に快適な動作で、設定次第ではゲームもサクサクプレイする事が可能です。しかし、ゲーミングパソコンと銘打っている高性能のグラボと比較するとやはり性能差が大きく出てしまいます。
そのため、補助電源が不要なグラボを使う事があなたにとって正しい選択なのかパソコン購入前に検討しなければなりません。
マザーボードやPCI Expressに負担がかかる
補助電源が不要な場合は、電源の供給をマザーボードの端子から行うため、直接的に負荷をかけているマザーボードに負担がかかり、寿命を縮める事になります。が、恐らくあなたが思っている程にマザーボードの寿命が尽きるスピードはそこまで早くない為、気にしないで良いと思います。
おすすめ補助電源不要のグラフィックボード
市場には様々な補助電源が不要なグラフィックボードが存在します。ここでは、代表的な3つのグラフィックボードについて、その特徴と性能を比較します。
ちょっと気になるメモ:
製品の一部のモデルでは、補助電源が不要なモデルと補助電源が必要なモデルの2種類が販売されている事がありますが、その場合は補助電源が必要なモデルの方が性能が高いのか?と言われると若干の誤差がある程度です。
補助電源で安定した電源供給がなされるだけであり、性能値はOCモデルやクロックを上げたり、設定を変更しない限り殆ど変わらないので安心してください。
GeForce RTX 3050の特徴と性能
GeForce RTX 3050は、ゲームやクリエイティブ作業に適したエントリーレベルのグラフィックボードです。NVIDIAのRTXラインナップの一部で、リアルタイムレイトレーシングとAIによる画像処理をサポートしています。これにより、リアルな照明や反射効果をゲーム内で楽しむことができます。また、NVIDIAのDLSS(Deep Learning Super Sampling)技術にも対応しており、AIを活用して画像を高解像度にアップスケールし、パフォーマンスを向上させることができます。70Wの消費電力で動作し、6GBのメモリを備えているので、多くの現代のゲームを快適にプレイするのに十分な性能を提供します。補助電源が不要であるため、電源ユニットのアップグレードなしにPCに組み込むことができます。
GeForce GTX 1650の特徴と性能
GeForce GTX 1650は、NVIDIAのGeForce GTX 16シリーズに属するグラフィックカードです。このカードは特に、補助電源が不要でPCI Expressスロットからの電力だけで動作するため、小型PCや電源アップグレードを避けたいユーザーに適しています。消費電力は75Wと効率的でありながら、4GBのメモリを搭載しています。
GTX 1650は、その手頃な価格で1080pゲーミングに適しており、一般的なゲームを中〜高設定で快適にプレイすることが可能です。また、NVIDIAのTuringアーキテクチャを採用しているため、前世代のカードと比較しても性能面での改善が見られます。ただし、RTXシリーズのようなリアルタイムレイトレーシングやDLSSはサポートしていません。それでも、価格を抑えつつも十分なゲーミングパフォーマンスを求めるユーザーにとっては、優れた選択肢となるでしょう。
GeForce GT 1030の特徴と性能
GeForce GT 1030は、NVIDIAのエントリーレベルのグラフィックカードで、特にコンパクトなPCや基本的なマルチメディア用途に適しています。このカードの最大の特徴は、非常に低い消費電力である30Wであり、これにより補助電源が不要で、小さなフォームファクターのPCにも簡単に追加できることです。
GT 1030は2GBのビデオメモリを備えており、基本的なグラフィック作業や軽いゲーミング、ビデオ再生を快適に行うことができます。高度なゲームや3Dレンダリングのような要求の高いタスクには向いていませんが、日常の使用やデュアルモニターのセットアップなどでの使用には十分です。
その手軽さとコストパフォーマンスから、グラフィックス性能を小規模にアップグレードしたいと考えているユーザーや、電力消費や予算に制限のあるシステムビルダーにとっては魅力的な選択肢となります。また、小型で省電力ながらも、HDMIやDisplayPortを通じた4Kビデオ出力にも対応している点も、多くのユーザーにとって有利な点です。
比較結果の考察
グラフィックボードの選択は、現代のPCユーザーにとって重要な要素の一つです。特に補助電源が不要なモデルは、使いやすさとエネルギー効率のバランスを考えた時、魅力的な選択肢になります。しかし、これらのグラフィックボードが実際にどのように性能を発揮するのか、そしてその費用対効果はどの程度なのかを検証することが重要です。
結局は自分の予算と相談になってきますが、順にPC買い替え>電源ユニットとグラボ買い替え>補助電源無しグラボに変更>
パフォーマンス面での優劣
補助電源が不要なグラフィックボードの中には、さまざまなパフォーマンスレベルの製品があります。これらの製品は、主に軽度から中度のゲームプレイや日常的なメディア処理用途をターゲットにしていますが、一部のモデルは驚くほどの性能を提供します。例えば、NVIDIAのGeForce GTX 1650やAMDのRadeon RX 560は、補助電源が不要でありながら、多くの現代的なゲームを快適にプレイできるパフォーマンスを提供します。
この種のグラフィックボードの最大の利点は、簡単なインストールと低電力消費です。ただし、より高性能なモデルと比較すると、明らかに性能の上限があります。例えば、4K解像度でのゲームプレイや、高度なグラフィック設定での動作は、これらのグラフィックボードには適していません。したがって、自分の使用目的に合わせて適切な性能レベルを選択することが重要です。
費用対効果の観点から見る補助電源不要のグラフィックボード
補助電源が不要なグラフィックボードは、一般的にその手軽さから多くのユーザーに選ばれますが、この選択が必ずしも最もコスト効率の良いものであるわけではありません。これらのモデルは、低~中レベルの性能を提供し、高性能を求める場合には、その限界を受け入れる必要があります。しかし、上記で述べたように、日常的な使用や軽度のゲームプレイには十分な性能を提供するため、そのニーズにピッタリ合っている場合には非常にコスト効率が良いと言えます。
性能だけでなく、省エネルギー性も考えると、補助電源が不要なグラフィックボードは電気代の節約にもつながります。特に、PCを長時間稼働させるユーザーにとっては、この点が大きな利点となるでしょう。また、これらのグラフィックボードは、多くの場合、冷却システムが簡素化されており、静音性にも優れています。
総じて、補助電源が不要なグラフィックボードは、特定のニーズに合致するユーザーにとって非常に魅力的な選択肢です。ただし、使用目的や求めるパフォーマンスレベルに応じて、その選択が最善かどうかを慎重に評価することが重要です。ゲームや高度なグラフィック処理のためには、補助電源を必要とする高性能モデルの方が適している場合がありますが、コストと利便性を重視するなら、補助電源が不要なモデルが最適な選択肢となり得ます。
まとめ
補助電源が不要なグラフィックボードの選択は、システムの簡易化や、省エネルギーを重視する方にとって重要な意味を持ちます。本記事で比較したモデルを通じて、パフォーマンス、消費電力、および価格のバランスに着目することが、最適なグラフィックボード選びにおける鍵であることが明らかになりました。
– パフォーマンスの面では、補助電源が不要なモデルであっても、日常の使用や軽度なゲームプレイ、基本的なグラフィック作業に十分な力を持っていることがわかります。
– 消費電力の面から見ると、これらのグラフィックボードはシステム全体のエネルギー効率を向上させることに貢献します。特に、コンパクトなPCやエントリーレベルのPC構築において、その利点が顕著に現れます。
– 価格面では、補助電源が不要なグラフィックボードは一般的に、より高価なモデルに比べて手頃であり、初期投資を抑えつつ、必要に応じてシステムアップグレードを可能にします。
最終的な選択は、個々のニーズや使用条件に基づいて決定されるべきですが、この記事で提供された情報が、読者の皆様の判断材料となることを望みます。
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